本日は、水道水に含まれる「塩素」についてお話ししてみたいと思います。

 1980年代だったと思います。
 水道水を殺菌するために使われている塩素の「健康被害」が懸念されるようになってから、かなりの家庭で浄水器が使われるようになりましたね。

 その後、アルカリイオン整水器がブームを呼んだ時代もありました。
 そして、2007年には日本医大の太田教授が水素の健康効果について確固たるエビデンスに基づいた論文を発表してから数年経った頃(2013年~2015年)に「水素水」が大きく注目を集めました。(これはまだ記憶に新しいですよね)

 このように、塩素の健康被害から端を発し「飲み水」への関心は今も高まるばかりですが、意外にもお風呂やシャワーによる塩素被害を懸念される方は少ないようです。(たしかに年々増加傾向にあるのは事実ですが、それでも浄水器や水素水のようにブームが来る気配は未だにありません)
 では、お風呂やシャワーから取り込む塩素の実情について詳しく記してみたいと思います。

 塩素は気化しやすい物質であり、水道水が温められてお風呂で利用される温度(38℃くらいから気化する量が増え始め高くなればなるほど多くなる)になると加速的に気化します。
 気化した塩素は大量に拡散されるため、水道水を飲んで塩素を摂取する場合とバスルームの気化した塩素を呼吸や皮膚呼吸から摂取する場合を比べたとき気化した塩素のほうが約100倍多く摂取してしまうという検証結果が発表されています。
(100倍なんてまさか!と思われるかもしれませんが、バスルームに充満する気化した塩素を呼吸と皮膚呼吸で摂取するので数百ccの水道水を飲むのとは訳が違うのです)

◉日本の水道水は塩素濃度が非常に高い

 水道水に塩素が入っていることは誰でも知っていると思います。そして塩素が発ガン性トリハロメタンの元になっていることも周知のとおりです。

 しかし、塩素がどのくらいの濃度で入っているかを知っている方は意外に少ないようです。
 日本の水道水は、配水される最遠地でも「0.1ppm」以上の塩素濃度を保つよう水道法で定められています。ppm(ピーピーエム)とは100万分の1の単位のことで、水道水1リットル中に0.1mgの塩素が入っていると0.1ppmとなります。

 問題は、この0.1ppm以上の「以上」というところです。これは、「それ以上であればいくら濃くてもよい」と解釈しても問題にはならないという意味を含みます。

 実際、仕事柄私たちもあちこちで「残留塩素」を測定しますが、東京、大阪、福岡等の大都市では1.0~1.5ppm、他の地方都市においても0.4 ~ 1.0ppm の高濃度の塩素が測定されています。

 一方、ヨーロッパ諸国では地下水を水道水の原水にすることが多く、水が元々きれいなこともあって塩素を使用していないか若しくは、使用しても0.1ppm 以下と規定されています。そう!日本と違って「以下」なのです。

 日本は川の水を原水にすることが多く、川の水がかなり汚れていること(川の水を汚す私たち自身にも問題がありますけれど)、さらには浄水場において急速ろ過方式という大量の塩素と薬品によって水を浄化する方法が採られているため、結果的に世界でも類を見ないほど高濃度塩素水になり、諸外国との比較で5 ~ 15 倍も多い状態なのです。

 塩素量が多いということは、発ガン性のトリハロメタンの発生量もおのずと増えるということです。
 事実、アレルギー症の発症患者数は年々増加し、且つその傾向は加速しています。
 当社は、皆さまにこうした実情を知って頂き、その上で水道水を上手に利用いただきたいと思っています。

 今日は、塩素の実情を知って頂きました。
 近々、今度は塩素の「健康被害」についてお話ししてみたいと思っています。本日はこの辺で。
 ご拝読ありがとうございました。

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